ソフトウエアビジネスモデル特許ビジネス関連発明特許

ビジネスモデル特許(その3)

 今回は、特許された請求項のみを紹介しましょう。例題として、「特許6483899号」を取り上げてみます。

  【請求項1】
 通信インタフェース及び前記通信インタフェースと接続されているプロセッサを備える情報処理装置が、
 前記通信インタフェースによって、他の情報処理装置から、電子商取引プラットフォームにおいてユーザが売主である場合における前記ユーザに関する第1情報を取得するステップと、
 前記通信インタフェースによって、他の情報処理装置から、前記電子商取引プラットフォームにおいて前記ユーザが買主である場合における前記ユーザに関する第2情報を取得するステップと、
 前記プロセッサによって、前記ユーザの信用度を、前記第1情報及び前記第2情報に基づいて、前記ユーザが売主である場合における前記電子商取引プラットフォームでの活動及び前記ユーザが買主である場合における前記電子商取引プラットフォームでの活動に応じて前記信用度が変化するように算出するステップと、
 前記通信インタフェースによって、他の情報処理装置から、前記ユーザの債務に関する情報を取得するステップと、
 前記プロセッサによって、前記信用度に応じて、前記債務の全部又は一部を前記ユーザに代わって履行するステップと、を実行する債務履行方法。
 上で述べましたが、このような表現で特許になっています。

 この債務履行方法は、5つステップから構成されています。  具体的には、
  (1) 第1情報を取得するステップ
  (2) 第2情報を取得するステップ
  (3) ユーザの信用度を、・・・算出するステップ
  (4) ユーザの債務に関する情報を取得するステップ
  (5) 前記債務の全部又は一部を前記ユーザに代わって履行するステップ
の5つのステップです。

 どのステップも「通信インタフェースによって」や「プロセッサによって」とされています。また、動詞も最後の(5)のステップを除いて、「情報を取得」や「算出」となっています。
 最後の(5)のステップは、「前記信用度に応じて、前記債務の全部又は一部を前記ユーザに代わって履行するステップ」となっており、表現が少し微妙な感じはします。

 そこで、発明の内容が詳細に説明されている【発明を実施するための形態】を見てみます。
 まず、「債務」については、段落番号0207に、
「債務に関する情報は、飲食店のキャンセル料に関する情報であるが、債務に関する情報は、任意の債務の内容を表す情報であってよい。債務に関する情報は、例えば、返済すべき金銭の額及び返済期日に関する情報であったり、レンタルした物品の返済期日に関する情報であったり、レンタルした物品を修理するための金銭の額及び返済期日に関する情報であったりしてよい。」
と「情報」に関連づけられていることが記載されています。

 また、「履行」については、段落番号0212に、
 「履行部320は、ユーザの信用度に応じた割合で、ユーザの債務の全部又は一部をユーザに代わって履行する。ここで、履行とは、債務に相当する金額を入金することであったり、債務に相当するレンタルした物品の返送を行うことであったりしてよい。」
と記載されています。
 さらに、図30には、「履行部320」がコンピュータなどのハードウエアであることが明確に記載されいます。

 このように、「債務」や「履行」などのソフトウエアから離れたような表現がされていても、表面上の表現そのもので判断されるのではなく、実質的に、ハードウエアによって実現できるものであったり、ソフトウエア処理によるものであれば、「通信に関連するソフトウエアによって実現できるビジネス関連の発明」と判断されて、特許にすることができます。