ソフトウエアビジネスモデル特許ビジネス関連発明特許

ビジネスモデル特許(その1)

「ビジネスモデル特許」というと、どのようなものを想像されるでしょうか?

世間一般のイメージと特許業界で用いられている概念との間にあ隔たりがあるように感じています。

いわゆる「ビジネスモデル特許」とは、Wikipediaによれば、広義では、ビジネス方法(ビジネスモデル)に係る発明に与えられる特許全般を指し、一般にはより狭義の、コンピュータ・ソフトウエアを使ったビジネス方法に係る発明に与えられる特許という意味で用いられる、とあります。

これまでの経験では、世間一般には、広義の意味のように思われているようで、このような観点で相談されることが多いです。しかしながら、特許業界では、基本的に、狭義の意味で運用されております。

では、実際に特許を付与する特許庁では、どのように表現され、どのように扱われているのでしょうか?

まず、日本国の特許庁では、下記のサイトにあるように、ビジネスモデル特許なる語は使用しておらず、「ビジネス関連発明」という用語が用いられております。https://www.jpo.go.jp/system/patent/gaiyo/sesaku/biz_pat.html

なお、本サイトでは、基本的には、一般的になじみのある「ビジネスモデル特許」なる語を用いて説明していきます。どうしても必要があるような場合には、「ビジネス関連発明」なる語を用いて説明していきたいと思います。

また、上記の特許庁のサイトによれば、
「ビジネス関連発明とは、ビジネス方法がICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)を利用して実現された発明です。」
とあります。

つまり、特許的には、上の図の真ん中の「ICT」の部分がキモになると言えるでしょう。

さらに、特許庁が出している「特許・実用新案審査基準」及び「特許・実用新案審査ハンドブック」では、以下のように説明されております。
「ビジネスを行う方法に関連するソフトウエア関連発明は、ビジネスを行う方法に特徴があるか否かという観点ではなく、当該発明が利用するソフトウエアによる情報処理が、ハードウエア資源を用いて具体的に実現されているか」で判断されることが明記されております(下線は筆者による)。

https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/patent/handbook_shinsa/document/index/app_b1.pdf

このようなことから、「ビジネスモデル特許」とは、簡単に言えば、通信に関連するソフトウエアによって実現できるビジネス関連の発明と言ってよいのではないかと思います。