内装建築物意匠改正意匠法令和2年画像関連意匠

意匠法改正(令和2年4月1日施行)

 意匠法が改正されました。

1.改正意匠の大きなポイント

 (1)「保護対象の拡充」
 (2)「関連意匠制度の拡充」

2.保護対象の拡充

 (1)「画像」のデザイン
 (2)「建築物」のデザイン
 (3)「内装」のデザイン
も保護対象になりました。

3.「画像」のデザインの保護

<保護対象となる画像>
 ・画像そのものについて意匠登録を受けることができるようになります。
 ・サーバなどから送信されて表示される画像も保護対象になります。
 ・壁や床や人体など「物品」以外に投影される画像も保護対象になります。

 <主な要件>
(1)物品から離れた画像自体(以下の(a))又は(b)
 (a)機器の操作の用に供されるものであること


 (b)機器がその機能を発揮した結果として表示されること

(2)物品の部分としての画像を含む意匠
 ・物品等の機能を発揮するための操作の用に供される画像であること 又は
 ・物品等の機能を果たすために必要な表示を行う画像であること





<<保護対象とならない画像>>
 映画等のいわゆるコンテンツは、「機器の操作の用に供される画像」又は「機器がその機能を発揮した結果として表示される画像」に該当しません

<映画等のいわゆるコンテンツを表した画像>
 テレビ番組の画像、映画、ゲームソフトを作動させることにより表示されるゲームの画像、風景写真など、画像又は映像の内容自体を表現の中心として創作される画像又は映像は、機器の操作の用に供される画像とも物品等の機能を発揮した結果として表示される画像とも認められず、意匠を構成しません

<参考>(画像を含む意匠)
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/design/shinsa_kijun/document/index/isho-shinsakijun-04-01.pdf

4.建築物の意匠

<主な要件>
 (1)土地の定着物であること。
 (2)人工構造物であること。土木構造物を含む。

<建築物と判断するものの例>


<「土地の定着物」を満たさないもの(「物品」の意匠として保護)>
 (a)土地に定着させ得るが、動産として取引されるもの
  例:庭園灯など
 (b)一時的に設営される仮設のもの
  例:仮設テントなど
 (c)不動産等の登記の対象となり得るが、動産として取引されるもの
  例:船舶、航空機、キャンピングカーなど

<「人工構造物」を満たさないもの(意匠法による保護対象外)>
 (a)人工的なものでないもの
  例:自然の山、自然の岩、自然の樹木、自然の河川、自然の滝、自然の砂浜など
 (b)人の手が加えられているものの、自然物や地形等を意匠の主たる要素としているもの
  例:スキーゲレンデ、ゴルフコースなど
 (c)土地そのもの又は土地を造成したにすぎないもの

<参考>(建築物の意匠)
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/design/shinsa_kijun/document/index/isho-shinsakijun-04-02.pdf

5.内装の意匠

<主な要件>
 (1)店舗、事務所その他の施設の内部であること
 (2)複数の意匠法上の物品、建築物又は画像により構成されるものであること
 (3)内装全体として統一的な美感を起こさせるものであること

<例>
(1)商業・オフィス空間に関するものの例
 レストランの内装、カフェの内装、オフィスの執務室の内装、食料品店の内装、ドラッグストアの内装、ホームセンターの内装、衣料品店の内装、靴屋の内装、宝飾品店の内装、楽器店の内装、書店の内装、自動車ショールームの内装、理美容室の内装、クリーニング店用内装、旅行代理店の内装、不動産屋の内装、金融機関の内装、映画館の客席用内装、ゲームセンターの内装、ボーリング場の内装、スポーツジムのトレーニングルーム用内装、ホテルの客室の内装、旅館の浴場の内装…など
(2)住空間に関するものの例
 住宅用リビングの内装、住宅用キッチンの内装、住宅用寝室の内装、住宅用バスルームの内装、住宅用トイレの内装…など
(3)教育・医療空間に関するものの例
 学校用教室の内装、学習塾用自習室の内装、診療室の内装、手術室の内装、病室の内装…など
(4)交通関係空間に関するものの例
 空港ターミナルロビーの内装、航空機用客室の内装、地下鉄用プラットフォームの内装、観光列車用内装、バスターミナルロビーの内装、高速バス用内装、客船ターミナルロビーの内装、客船用客室の内装、…など

<参考>(内装の意匠)
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/design/shinsa_kijun/document/index/isho-shinsakijun-04-04.pdf

6.関連意匠制度の拡充

 (1)本意匠の意匠登録出願日から10年を経過する日前までに出願されれば、意匠登録を受けることができるようになりました。
   ※ 改正後の関連意匠の出願可能な期間であっても、「本意匠」の意匠権が消滅等した後は関連意匠を登録することができません。

 (2)関連意匠にのみ類似する関連意匠についても、登録を受けられることとなりました。
 (3)基礎意匠に係る他の関連意匠との間においても先願の規定を適用されません。

   ※「基礎意匠」:最初に本意匠として選択した一の意匠
   ※「本意匠」:自己の意匠登録出願に係る意匠又は自己の登録意匠のうちから選択した一の意匠
   ※「関連意匠」:本意匠に類似する意匠

<参考>(関連意匠の規定)
https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/design/shinsa_kijun/document/index/isho-shinsakijun-05.pdf